CS:GO次期メジャー大会、PGL Major Krakow 2017の見どころ! [Pt.1] (翻訳記事)

次期メジャー大会となる、PGL Major Krakow 2017の見どころ、特徴などを、PGLのディレクターがRedditで発表しました。この内容は、それを翻訳、解説したものです。

PGL Major Krakow 2017  


このメジャー大会は今年夏の7月16日~23日に、Krakow, PolandのTAURON Arenaで開催される100万ドルメジャーです。
PGLは2015年のメジャー、DreamHack Open Cluj-Napoca 2015での会場演出を担当していました。メジャー大会を主催するのは今回が初です。

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・メジャー大会では初となる、1080p60ブロードキャスト                                                                                                    (by @pglbossman)

Dota2の大会、TI6が2016年、高品質な配信を開始して以来、CS:GOでも1080p, 60fpsでの配信は需要が高まっていました。
*最近では、4月の初めに開催された、SL i-League StarSeries Season 3が、1080p60での配信でした。

とはいえ、配信のアップグレードはすぐに出来るものではありません。
私達の場合、European Minorのための準備が全て整うまでに、数ヶ月の期間が必要となりました。European Minorは、Krakow CS:GO Major Championshipと同じように、"真の"1080p60で配信されます。

"真の"とはどういう意味でしょう。実は1080p, 60fpsの配信には、異なる2つの手法があります。

簡単なのは、ズルをする という選択です。映像が配信される前の全ての作業を720p60で行い、プロダクション工程が終わった所で、解像度を1080pに上げる方法です。

これは人々が期待しているものではなく、品質の点からも完璧ではありません。
ですがその配信には、"1080pだよ"というラベルを貼ることができます。
これではマーケティング部門や、PR部門だけが満足して終わります。

正しい方法としては、完全な1080p60のワークフローを作ることですが、これでは大幅なコストがかかってしまいます。
"完璧なワークフロー"というのはつまり、プレイヤーのカメラからステージの配信カメラまで、さまざまなコンバーター、ビデオミキサー、再生機器等すべてに1080p60を出力して処理できるものが必要だということです。
その一連の物のリンクの1つだけが1080p60でない場合、すべてを調和させるために信号を変換する必要があります。

そしてこの時、どこかで真の1080p60でないソース、720p60等に切り替えたとします。
(例えば、720p, 60fpsでしか再生できない機械があり、でもその信号だけはスケールアップされているとします)
視聴者はすぐに質の違いに気づくでしょう、なので私達はそんなことはしません。:-)

・視覚的な向上も(カラフル!)

完全な1080p60でのワークフローに加えて、PGLでは全体の視覚的品質を向上させるために、たくさんの調整をします。

その一つに、放送のカラーライゼーション(色付け)があります。なぜなら、私達は放送画面がカラフルなのが好きだからです。真っ赤な血痕、真っ青な空、黒色は私の腹と同じくらいにダークに。私はCSGOの空に、灰色の霧がかかっているのが好きではありません。

ただ気をつけてほしい事は、あなたのモニターの設定によっては私達がプロダクションルームで仕上げた色合いと異なってくることがあります。

もしあなたのモニターの明るさが30%高かったり、コントラストが15%低く設定されていたり、またデジタルバイブランスをいじっていると、私達はどうしようもありません。

ただほとんどの場合、モニターのsRGB値が普通であるならば、映像はエンコーダで見ているものと出来るだけ近いものになるはずです。

百聞は一見に如かずということで、ここに例を用意しました。
ELEAGUE Major Atlanta 2017から、FaZe vs SKです。
デフォルトの1080p60 - Mirage
PGL調整付きの1080p60 - Mirage
もちろん、上のビデオで見られるものは完成されたものではありません。
大会が開始するまで設定を改造し続け、何を得ることができるかを確認します。


・たくさんの視聴者参加型コンテンツ (by @diana_p)

私が制作室で、"ソーシャルメディア担当"として受け取った任務の一つは、Twitch predictions(Twitchでの勝者予想)を行うことでした。
方法はとても簡単で、1. 投票を開始, 2. 集計を待つ, 3. 番号を入力 これだけ。
ただボタンを押してるだけで視聴者参加型のコンテンツが作れるのです!
後に、TwitterやFacebookなどのプラットフォームを使った予想も行いました。

だけれども、各試合ごとの勝利予想では、視聴者の目はそんなに長くは向きません。
一度試合が終わってしまうと、"74%の人達がチームAに投票しています!"なんということをいちいち気にかける人はいなくなってしまいます。
しかし、PGL Major Krakowで、私達は次のレベルの機能を実装します。
それが、"Tournament ranking comparison"というものです。

このシステムでは、事前に予想された、16チームのランキングを測定するためのチェックポイントを2つ設け、アナリストと視聴者それぞれのランキングを互いに比較し、そのランキングがイベント全体を通してどのように変化するのかを見比べます。

イベントが始まると、ライブ視聴者の予想も追加されます。要するに、チケットを持っている人はその日、その場で投票する機会を得るということです。
私達はこのシステムが、試合を観るという楽しみだけでなく、彼らの予想が正しいかどうかというエクストラな興奮を与えてくれることを願っています。

私達のイベントで、コミュニティと関わったもう一つの方法は、"Ask the panel" セグメントです。これは去年の、European Minor Championship - Atlanta 2017でも実施されました
*European Minor - EL Atlanta 2017は、PGLがホストしていました。

(Ask the panelとは: Twitterなどから集められた視聴者の質問を、試合の休憩時間や合間を使ってアナリストが読み上げ、返答してくれるシステムのことです。)

今回のメジャーでは、キャスターやチームを取り入れる為、構想を拡大しています。質問はRedditや、Twitterのハッシュタグ #PGLMajor を使って集められます。
それに、掲示板も設けられます。ポスト、写真、動画、ハイライトやミーム(特にミーム!)は、公式サイトのSocial Media Wallに表示されます。

ただ、なんといっても配信の作り方には気を配らないといけません。写真やミームばかりで溢れている配信では面白くありません。しかし、私達は、コミュニティの楽しく魅力的で洞察力のあるコンテンツを生み出す能力には大きい信頼を寄せています。


もちろん、これが私達のアイデアの全てではありませんし、ただこうして話しているだけでコミュニティを満足させられると思ってもいません。この仕事の半分は、私達にこうして意見を出してくれるファンの人たちに懸かっていると思います。

ですから、あなたが#PGLMajorをより楽しく、魅力的で、受け入れやすい物にできる他のアイデアがあれば、私たちに教えてください。

そしてもちろん、これはエイプリルフールの嘘ではありません、確かにこのプレビューを発表するタイミングはベストとは言えなかったかもしれませんね。 :)
*このプレビューが投稿されたのは、4/1のエイプリルフールでした。

・1から作り直された放送向けHUD (by @pglbossman)

今日では、Adaptable Broadcast HUD (ABH) が脚光を浴びています。

詳細を説明する前に、タイムマシンで2015年に戻りましょう。その頃は丁度CCS / PGL Season 1が開催されていました。
CSSのデビュー後、私達の考えていたアイデアがコミュニティに受け入れられたことを嬉しく思います。

しかし、私達が得たフィードバックの中に、常に目立つものがありました。
それは、Picture in Picture画面がチームの情報に被ってしまい、必要な情報が隠れてしまったという事です。
Picture in Pictureの例
たくさんの試みの後、最も魅力的だったのはPiPの画面を右上に移動させることでした。
そうすることにより、マップとチーム情報を両方見ることができるようになりました。

しかし、一つの問題が。右上にPiP画面を設置すると、キルフィードが見えなくなるということが頻繁に起こりました。
そうして、私達は"視聴者に見せたいエクストラな情報があるが、それを表示するための場所がない、というそんな状態にありました。

私達にとって、カスタムHUDを作ってみるというアイデアが生まれたのは、DreamHack Cluj-Napoca 2015の頃でした。
もちろん、その時PGLは会場効果を受け持っていたので、ボム爆発した時の炎で建物を燃やさないようにするのに大きな注意を払っていました、あの時は楽しかったですね。


そしてほぼ一年後、既存のHUDはもはや制限されているものではないということに気づきました。私達はこれを世界最高のものへと作り変えることができます。
そしてこれは非常に重要な作業であるので、厳密な設計ガイドラインをいくつか設定しました。
・新しいHUDは、少なくとも元のHUDと同じ情報を表示しなければいけない
・レイアウトはなるべく元のものに近いようにすること, 動かせるから、と言って乱雑にしてはいけない
・何か物を動かす時は、それにしっかりとした理由があるかを確認する
・PiPスクリーンは、画面上の他の情報を隠さないように, 一切被らないのが望ましい

そして数ヶ月の作業、たくさんのフィードバック(Sadokist, HenryG, natu, ReDeYe
, Machine and Thorinからのチェック!)と繰り返しの末、Adaptable Broadcast HUDが完成しました。

ここから見る物は完成しているわけではありません。現在のABHの状態であり、いわゆるベータの段階です。:)

さて、私達の機能と視聴者が試合を見ていて知りたい情報をうまく両立することの他に、ABHのもう一つの目標は、最大限の"アクションスペース"を設けることでした。
要するに、HUDを小さく、隅に寄せ、その分クロスヘアの周りの領域を見やすくするのです。

そのために私達はこれを行いました:
・チーム情報を角まで移動させる。
・HP, アーマー, 残弾などの情報を統合し、中心に置く。
・プレイヤーのカメラ / 画像は、武器Viewmodelに被せるように置く。これは、AWPなどでスコーピングしている時に邪魔にならないという、更なる利点がありました。

結果的に、ABHは5つの主なブロックに分かれることになります:
・試合画面
・レーダー
・キルフィード
・チームの情報
・プレイヤー情報

基本的なレイアウトができたあと、私達は視聴体験を向上させることができるような、更なる情報の追加を行いました。

例えば、上部の試合情報やラウンド数が書いてあるブロックには、各チームが獲得したピストルラウンドの数の指標があります。
私達はこれを残しておくかどうかまだ決まってはいませんが、途中から配信を見に来た人に、チームがいくつのピストルラウンドを獲得したのか直ちに知ることができるという意図があります。

プレイヤーの情報については、個人の写真を削除し、その代わりにプレイヤーの持っている金額と、IGLインジケータを追加しました。
そして、カメラがそのプレイヤーを映していなくても、誰がフラッシュを喰らっているか、スモークの中にいるか、燃えているのかどうかなどを確認できるようになります。
SKのIGLはFalleN
そしてPiPスクリーンにより、スーパープレイが出た直後の観客の様子を、このようにして見ることができます。
Crowd Rection
もちろんこれはAdaptable Broadcast HUDという名前の通り、Adaptable = 画面に表示されている要素を追加、削除、調整などをすることができます。

情報は必要に応じて表示することができ、例えばBuytimeの間だけ、チーム全体が所持している金額を表示したりもできます。
Team money
また、リプレイ中は、プレイヤー情報を消して、プレイ画面に集中することができます。
Replay
スクリーンショットを1000枚貼るよりも動画で見たほうが分かりやすいので、ここに
ELEAGUE Atlanta 2017からSK vs HellRaisersの、ABHを使用した2ラウンド分の映像を用意しました。
*これはGOTV Demoから作られたので、プレイヤーの動きやレーダー上のCallouts、キルフィードに多少の狂いが出ています。

私達はまた、他の要素にも取り組んでいます。と言うのは主に、カメラがゲームを映していない時(例えばチームカメラにカットインした後)の所持マネーや、スコアボードです。
*CSGOの観戦モードは、スコアボードを表示するとプレイヤーの装備や所持金が見えなくなってしまう。

スコアボードの最初のバージョンは、CCS / PGL Season 1で取り入れられ、バージョン2.0は、ESL One Cologne 2016に使われました。
ESL One Cologne 2016の決勝, SK vs Liquidから
バージョン3.xでは、2.0に搭載されていたものを全部引き継ぎ、キャスターと視聴者の両方に有用な、試合状況をよりよく把握するための追加情報が含まれます。

これで、このフィーチャープレビューは終わりです。そしてよければ、ABHに関するあなたの考えを教えてください。私達は大会が始まるまで、常に改善点を探しています。

視聴者がいきなり新しいHUDに慣れるのは難しいことでしょう。そのため我々はまず、
6月初めのAsian Minor Championshipから、ABHの使用を予定しています。

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以上が、Redditで公開されていた3本のプレビューの翻訳となります。
StarLadderやEPICENTERなど、最近の大会はプロダクションに拘ったものが多いですが、HUDを一新するなどの試みは今までにないもので、とても面白いですね。
また今度RedditにFeature Previewが公開されることがあれば、記事すると思うのでよろしくお願いします。

パート2できました↓↓↓


CS:GOメジャー大会、PGL Major Krakow 2017特集 [Pt.2] (翻訳記事)



・PGL Major Krakow 2017 - 日程
6月1日~4日: Asia Minor
6月8日~11日: Americas Minor
6月8日~11日: CIS Minor
6月15日~18日: Europe Minor
6月29日~7月2日: Main Qualifier
7月16~23日: PGL Krakow Major

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